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東京プロマーケット上場には意味がないと言われる理由

  • プログレスコンサルティング
  • 2023年6月22日
  • 読了時間: 7分

更新日:6月22日

実際の上場事例から説明する、東京プロマーケット上場の意味

東京プロマーケット上場を考えている経営者の方との初回のお打合せの際、

「東京プロマーケット上場に意味がないと言われることがありますが、実際のところどうなのです?」といったご相談を頂くことが良くあります。

また、このようなお話は、スタンダードやグロースといった一般市場への上場を目指す経営者やCFOの方だけではなく、証券会社や監査法人の会計士の方でも同じ疑問を持たれている方が多くいます。

一方で、東京プロマーケットへ上場している会社はここ最近、急激に増加傾向にあります。


本当に「東京プロマーケット上場には意味がない」のであれば、多くの経営者が、上場に関連する費用を投じてまで上場を行うという意思決定は行わないと考えられます。

本記事では、上場を検討する経営者が知っておくべき「東京プロマーケット上場に意味がない」と言われる理由と、「上場による本当の価値」について解説します。



なぜ「意味がない」と言われるのか?

①意味がないと言われる最大の理由

東京プロマーケット上場を検討されている経営者、上場に詳しい証券会社等のプレイヤーも含め、東京プロマーケット上場に意味がないと考える最大の理由は、

「資金調達ができないのに上場する意味があるのか」といった点です。

実際、東京プロマーケット上場は、プロ投資家(※特定投資家及び非居住者)しか株式を買付することができない市場となっており、一般投資家は取引所に直接買い注文を行うことができません。


ただし、このように株式の買付けができる対象者を、株式投資に関する知識・経験が豊富なプロ投資家に限定することで、一般市場と比べて柔軟な上場基準を可能としています。

※特定投資家とは?

東京プロマーケットの上場株式の市場での買付けが可能な特定投資家は主に以下のとおりです。

  • 上場会社

  • 資本金5円以上の株式会社等

  • 年収1円以上が見込まれる個人

  • 純資産5円以上と見込まれる個人

  • 特定の職業経験者 等



②一般市場と東京プロマーケット上場の資金調達面での違い

グロース市場やスタンダード市場に上場する会社は、株式の売出しによる創業者利潤の獲得を行うとともに、上場時時価総額の約10%程度の資金調達を行っており、

グロース上場企業では、平均して約15億円程度の資金調達を行っています。

一方、東京プロマーケット上場企業は、2022年12月時点で約60社(※2025年5月時点では139社)ですが、

そもそも、資金調達を行った企業は、10%にも満たない状況です。 さらに、東京プロマーケットへ上場した企業の調達した金額は5億円に満たないこととなっています。

これらの内容から、東京プロマーケット上場を検討されている経営者、上場に詳しい証券会社等のプレイヤーが考える、「東京プロマーケット上場に意味がない?」といった疑問について、

上場目的を「資金調達」や、「創業者利潤の獲得」とする場合は、そのとおりであるといえます。



東京プロマーケットへの上場の価値

①資金調達以外のメリット

株式上場を資金調達の手段として考えている企業にとっては、確かに東京プロマーケット上場の意味は少ないといえます。

ただし、上場には、資金調達以外にも多くのメリットがあるといえます。

東京証券取引所も上場のメリットを複数挙げており、具体的な内容は、以下のとおりです。

【東京証券取引所が説明している上場のメリット】

  1. 資金調達の円滑化・多様化(東京プロマーケット上場では得られにくい)

  2. 企業の知名度の向上

  3. 社内管理体制の充実と従業員の士気の向上



②東京プロマーケットに上場した支援先企業の事例

東京プロマーケット上場へご支援させて頂いた会社様で、

経営者が実際に感じたと仰っていた東京プロマーケット上場のメリットとして、以下のようなものがありました。


■事業承継を見据えた経営者保証の解除、金利の低下

支援先企業は、不動産会社で、不動産の仕入時において、金融機関からの借入を行っていました。最近では、経営者保証に関するガイドライン等により、借入時に経営者保証を付けない流れもありますが、不動産融資に関しては依然、経営者保証が求められておりました。

事業規模を拡大していくためには、多くの不動産の仕入が必要であり、借入金額及び経営者保証の金額の増加が必要でした。経営者が創業者であったため、自社の借入に対して経営者保証を付けることについて抵抗は少なかったようですが、次期社長への交代を考えたときに、多額の経営者保証も承継としてしまうと、社長交代へのハードルとなると考え、東京プロマーケット上場を決断されました。

その後、東京プロマーケット上場を果たし、上場時には金融機関、リース会社等の経営者保証を全て解除することができましたので、事業承継を見据えた上場は良かったと感じておられました。

さらに、上場には監査法人による監査結果がある点で透明性のある決算情報の開示が担保されており、また、管理体制の構築といったこともあり、金融機関からの借入利率についても交渉することができ、支払利息の削減も可能となりました。



■ 上場会社としての知名度・信頼度

東京プロマーケットを目指される企業の中には、社歴が浅かったり、知名度が低い企業も多いです。

そのため、取引先からの信頼度が低いと悩まれていました。

また、新卒採用を考えておられましたが、社歴が浅く、知名度が低いといったことから、新卒採用時の親御様の納得が得られず苦労するといったお悩みも抱かれていました。

この点、東京プロマーケット上場を果たすことにより、上場会社となりますので、一定の安心感があることもあり、親御様からの納得も得られやすく、新卒採用が有利に進んだといったお話も聞きます。


さらに、学生が就職先企業を検索する際に利用する就活サイトでは、企業の絞り込みをする際に、「上場・非上場」を選択する項目があります。

学生が上場を選択してしまうだけで、非上場会社は検索対象外となってしまいますので、入口のエントリー数を大幅に減少させてしまい、新卒採用の機会を失っていました。

このように、東京プロマーケット上場により、優秀な新卒採用をしたいと考えている企業様において、新卒採用が有利に働いたといった声もありました。



■ 内部管理体制の構築

上場をしていない企業では、良くも悪くも同族会社による管理がされていることが多く、また、資金面の管理に重きを置かれることが多いです。

そのため、利益管理体制が十分でなかったり、スピード感のある適切な財務報告体制が構築できていない、」その他業務を行う上でのルールがないといったことが多くあります。

ご支援先企業させて頂いた企業でもこのような状況にありましたが、経営者が更なる企業規模の拡大・事業の継続性を考えたときに、現状の管理体制から脱却したいと考えられ、東京プロマーケット上場の目的の1つに社内管理体制の構築を置かれておりました。

上場審査の中で、利益管理体制の構築や財務報告体制の構築、社内ルール、規程の制定と運用といったものが求められましたが、管理部のメンバーを中心として対応をされ、このような社内管理体制が構築されるとともに、管理部メンバーの能力が飛躍的に向上したといった事例もありました。



東京プロマーケットも株式上場には変わらないため、株式上場によるメリットの内、

資金調達以外のメリットを目的とした上場であれば、十分なメリットがあるといえます。


当社では、実際にIPO準備会社のCFOとして上場を経験した公認会計士・中小企業診断士を中心とした

IPOコンサルティングを行っております。

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