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​東京プロマーケットとは

東京プロマーケットの特徴

東京プロマーケット(TOKYO PRO Market)とは、「TPM」や「プロマーケット」と呼ばれる
東京証券取引所が運営するプロ投資家向けの株式市場のひとつです。

プロの投資家向け市場という特性から、一般市場より上場要件が緩和されていることが特長で、

これから上場を目指す企業にとってチャンスが広がる市場です。

また国内外の投資家にとって新たな投資機会が生まれるとともに日本の金融市場の活性化と国際化を目指す市場ともされています。

    日本国内の株式市場

現在、日本には 東京証券取引所(東証)、札幌証券取引所(札証)、名古屋証券取引所(名証)、福岡証券取引所(福証)の株式市場(証券取引所)があります。

​各市場・上場区分ごとに株主数や流通株式数、利益額等の「上場基準」が定められており、審査を経て上場が決定します。​

日本の証券市場は1949年5月に東京証券取引所・大阪証券取引所・名古屋証券取引所の3カ所でスタートし、同年7月には9カ所に拡大しました。

現在日本国内の株式市場は、東京・札幌・名古屋・福岡の4市場で、その中でも東京証券取引所の市場規模が大きく日本を代表する大企業や有名な企業が上場しており注目を浴びるのも東京証券取引所の動向になります。

現在の東京証券取引所は、2013年に東京証券取引所グループと大阪証券取引所が経営統合し日本取引所グループとしてスタートしました。

この統合により市場区分が不明確になったため、2022年4月に上場区分が「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3区分に再編されました。

この再編により各区分の上場維持基準が明確化・厳格化され、企業はその基準の適合・維持することを求められ、企業価値向上への動機付けに効果をあげています。

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    東京プロマーケット誕生の経緯

 

​​​​企業が事業拡大や企業成長を目的として一般市場から資金調達を行うには、株式市場に上場して自社の株式を市場に公開することが必要です。

東京証券取引所のプライム・スタンダード・グロースの一般市場に株式上場するには厳格な審査基準をクリアする必要があり、多大な時間・費用・労力がかかる上に、必ず上場できるとは限らないため、目指すことに大きなリスクを伴います。

​さらに、上場後は最低でも半年に1回は決算の開示や監査法人による内部統制監査が必要になり、継続的な企業側の労務負担やコスト負担が必要となります。

このような課題を解決するために、2009年6月に東京証券取引所グループとロンドン証券取引所の共同出資で「TOKYO AIM」が開設されました。

その後、2012年3月にロンドン証券取引所との共同出資を解消し、2012年7月からは名称をTOKYO PRO Market(東京プロマーケット)に変更し東京証券取引所が市場運営を行っています。

    東京プロマーケットと一般市場の違い

東京証券取引所の株式市場は、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」「東京プロマーケット」の4区分の市場でで運営されています。​​​​

一般市場の「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」は、一般投資家が参加する市場という性質から「株主数」や「利益」「流通株式時価総額」等に関して数値基準・形式基準に適合する必要があります。また、上場には監査法人による監査証明も2期分必要であることから、一定程度の会社規模が必要であることや一定の準備期間が必要であること、さらには、流動株主数等において制限があり、一定の上場ハードルがあります。

​市場区分の再編に伴い上場基準が厳格化されたことにより、上場基準を満たせない企業も出現しています。

 

一方、「東京プロマーケット」は、プロ投資家のみが参加する市場で、上場や上場維持に株主数や株式の流通量などの数値基準が設けられておらず、上場時の監査法人による監査証明も1期分でよいことから、一般市場と比較して上場のハードルが低く、株式上場を検討している企業から関心を集めている市場です。​

株式上場を目指す企業のファーストステップとしての市場であるともいえます。売上高10億円以下の企業で上場を果たしたケースもあり、次のステージを目指す企業の成長を後押しする市場として、東京証券取引所グループの中でも特に注目を集めています(※)。

※​新規上場会社に占める東京プロマーケット上場会社の割合2020年においては約10%でしたが、2024年においては約40%と4倍近くなっています。

TOKYO PRO Marketと一般市場との上場基準の比較

    J-Adviser制度の導入

J-Adviser制度は、IPO(株式上場)や経営支援に関する経験豊富な信頼できる企業を東証が認定し支援を行う制度で、

上場準備~上場後のサポートまで一貫して専門家によるアドバイスを受けることができる制度です。​

​詳細:日本取引所グループ「東京プロマーケット J-Adviser制度」

  1. 役割
    J-Adviserは、上場を目指す企業と東京証券取引所の間に立ち、
    上場審査から上場後の継続的な支援まで一貫してサポートする金融機関や証券会社などの専門機関です。

  2. 上場支援
    企業の上場適格性の判断、上場申請書類の作成支援、東証との協議などを行います。

  3. 上場後の支援
    上場企業の適時開示義務への対応支援、企業価値向上のためのアドバイスなど、上場後も継続的にサポートします。

  4. 上場審査の簡素化
    J-Adviserが企業の上場適格性を判断するため、審査期間が短縮され、柔軟な審査が可能です。

東京プロマーケットで上場するメリットとデメリット

東京プロマーケットは東京証券取引所が運営する株式市場ですので、東証の一般市場(プライム・スタンダード・グロース)の株式上場(IPO)と同等のメリットとデメリットが当てはまります。

全ての株式市場は上場すると多くの人の目に触れる機会が増えるので、会社の知名度や認知度が高まります。また、監査法人の監査を受け、上場基準もクリアしているので、信用力もアップします。その他にも、資金調達、組織力の強化や従業員の士気の向上など、上場は様々なメリットを企業にもたらします。

このようなメリットがある一方で、上場すると、一定の会社の情報をタイムリーに開示(公表)しなければならい、上場までに期間やコストがかかってしまう、といったデメリットがあることも事実です。

​このような一般株式市場の特徴に加えて、東京プロマーケットには以下のような特徴があります。

   東京プロマーケット上場のメリット

1.支配権を維持した上場が可能
一般株式市場への上場では、株式の一定以上を流動させる必要がありますが、
TOKYO PRO Market上場はその形式基準の制約がないため、経営者の高い持株比率の維持が可能です。
また、銀行からの借入に関しての経営者保証が外れることから、将来の事業承継においてもメリットとなります。

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​2.上場準備の期間が短い
監査法人の監査期間が一般市場では2年分必要であることに対し、TOKYO PRO Marketは必要な監査期間が1年分であり、他の内部管理体制の構築が十分であれば、上場までの期間を短縮することが可能となります。

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3.上場コストを抑えることが可能
上場のためには、監査法人に対する監査報酬、J-Adviser(証券会社)、印刷会社、東証等の外部に支払うコストの他、

監査役、内部監査室、管理部人員の拡充等、様々なコストが発生します。
一般市場では年間の上場準備コストが年間5,000万円とされておりますが、東京プロマーケットでは年間上場準備コストは2,000~3,000万円程度であり、上場コストを大幅に抑えることが可能となります。

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4.一般市場へのステップアップ​

東京プロマーケットの上場においても、一般市場と同様、上場企業として認識されることから、「信用力・知名度の向上」が期待できます。新たなビジネスチャンスや有能な人材確保においても優位に働きます。

また、上場準備を通じてガバナンスや管理体制が整備されることから、「経営体制の強化」が期待でき、将来の一般市場上場への足掛かりとなります。​

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株式上場による企業の成長

   東京プロマーケット上場のデメリット

東京プロマーケットの最大のデメリットは、株式の流動性が低く、資金調達が困難であることが挙げられます。
東京プロマーケットは、特定の投資家しか株式を売買することができないため、
一般市場に比べると活発な取引は期待できず、流動性は低くなってしまいます。
ただし、流動性は低くても、資金調達ができないわけではなく、また、監査法人による監査証明を受け、
決算書の透明性、正確性について適正であるとの証明が得られることから、

金融機関からの借入が容易になるといったメリットはあります。

東京プロマーケットに上場するには

東京プロマーケットは、一般市場とは異なり売上や利益の額、株主数、流通時価総額といった形式基準(数値基準)はありません。

一方で、東京プロマーケットに上場するためには、本当に上場に相応しい会社かといった実質基準(=上場適格性要件)を満たしていることが必要です。 この実質基準については以下のとおりです。

    場要件

1.東京証券取引所市場の評価を害さず、上場するに相応しい会社である

プロ投資家に限定して提供されている東京プロマーケットですが、東証の株式市場であるという点は同じであるため、その市場評価にふさわしい企業であることが求められます。
 

✓ 法律・会計体系・税制等を適切に理解しているか

✓ 期間ごとの予算統制が整備されているか

✓ 上場予定日から12ヶ月間の運転資金があるか

2.事業を公正かつ誠実に遂行している 

上場企業としての業務体制や運用体制が整っていることが求められます。

 

✓ 関連当事者による取引や主に経営者が関与する取引を適切に把握および調査、牽制が行える体制が整っているか

✓ 上場企業の代表取締役社長及び役員の資質に問題がないか

3.コーポレートガバナンスおよび内部管理体制が適切に整備され、適切に機能している

内部統制については要件ではないものの、企業の規模や成熟度に応じてコーポレートガバナンス及び内部管理体制が整備運用されている必要があります。
 

✓ 社内規程が適切に整備され、適切に運用されているか

✓ 企業運営および内部管理に必要な人員が配置されているか

✓ 法令遵守のための社内体制が適切に整備、適切に運用されているか

4.企業内容・リスク情報等の適切な情報開示義務を履行できる態勢が整っている

東京プロマーケットはプロ投資家向け市場のため他の市場に比べて開示しなければならない情報やその回数は少なく、コーポレートガバナンスの基準が低いですが、上場企業には事業内容や、投資または経営に関するリスクについて適切な情報開示を行える社内体制の整備が必要です。
 

✓ 上場後の情報開示体制が適切に整備されているか

✓ 情報開示規則および開示義務について十分な理解があるか

✓ 内部者取引及び情報伝達・取引推奨行為(インサイダー取引)などの防止体制が整備されているか

5. その他公益または投資者保護の観点から東証が必要と定める事項に反していない

一般市場と同様に、公共や投資家の利益を保護するために東証が必要と判断した要件を満たす必要があります。
 

✓ 反社会的勢力との関係を有していないか

✓ 反社会的勢力排除のための規則や社内体制が適切に整備、運用されているか

✓ 設立からの株主の異動状況や権利について把握しているか

  上場期間

株式上場を実現させるためには様々なタスクがありますが、企業ごとに人員体制、社内体制の整備度合い等は様々です。

いつ、どのように、誰が各タスクに対応していくかといった体制を十分に検討しておかなければ、

期限に追われ社内負担が増加したり、本業に悪い影響を及ぼすこともあり、さらには上場を延期しなければならないことも発生します。

各フェーズに合わせてJ-Adviser、監査法人、金融機関など様々な専門家との対応や社内体制を整えていかなければなりません。

東京プロマーケットの上場スケジュールのイメージ

​上場までのプロセスで、監査期間の1年間と上場申請から上場まで最低1か月がかかります。

​その他業務フロー、内部監査体制、内部管理体制、コーポレートガバナンス体制の整備や予算の管理体制等の整理・構築作業があり、順調に進めて2年から3年が目安とされています。

  上場コスト

東京プロマーケット上場までには、通常は2,000~4,000万円程度の費用がかかるとされています。

これはあくまでも目安であり、実際には会社の規模、拠点数、事業内容、株主数等により異なり、この範囲ではない場合もあります。

その費用には、

「監査法人のショートレビュー、監査費用等」

「信託銀行などの株主名簿の作成事務、管理・配当等の処理費用」

「印刷会社のディスクロージャー・IR情報の作成、開示支援、印刷費用」

「J-Adviserへの状況指導費、上場審査費、上場時の成功報酬等」

「東証への新規上場料」

​などがあげられます。

​また、上場時に資金調達する場合には証券会社への費用が発生します。

​実際に上場準備をスタートさせるには、これまでの社内人材で経験も知識もない状態では難しく、経理やIR等管理部門の人材強化や上場経験のあるCFO候補採用の検討も必要になります。

東京プロマーケット上場後の維持コストは、年間1,500~2,500万円程度とされています。

上場までのコスト同様、会社の規模や拠点数、業種、株主数などにより増減するためあくまでも目安でこの範囲でない場合があります。
その費用には、

「監査法人に対する監査費用」

「J-Adviserへのモニタリング費用」

「信託銀行等への株主名簿の作成・管理、配当等の各種処理費用」

「印刷会社へのディスクロージャーやIR情報の作成・開示支援・印刷等を行う費用」

「東証への年間上場料」

などがあげられます。

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